年齢とともに低下する皮脂対策
皮脂は皮膚の健康を維持するためにとても重要な役割を果たします。
皮脂分泌量は20代をピークに、年齢とともに減少します。50代では20代の40-50%ほどに低下。皮脂不足、つまり肌の油分不足は「艶・ハリ・弾力・柔軟性の低下、乾燥・シミ・くすみ・小じわ・トラブル」などに繋がります。
女性が毎日朝晩行うスキンケアでは「保湿」を重視したお手入れになっているものと思います。「保湿=皮脂カバー」ですが、皮脂は多すぎても少なすぎても肌トラブルの原因になります。適切なスキンケアで皮脂バランスを保つことが大切です。
◎男性のほうが皮脂減少ペースは比較的ゆるやかですが、女性は40歳を超えると急激に減少する傾向があるため、保湿ケアがより重要になります。
皮脂の重要な役目
・皮膚の保湿:皮膚の水分蒸散を防ぎ、乾燥を防ぐ。
・皮膚の保護:外部の刺激(紫外線、汚染物質、化学物質など)から皮膚を守る。
・皮膚の柔軟性を維持 :皮膚を柔らかくし、柔軟性を保ち、乾燥によるごわつきを防ぐ。
・Phバランスの調整 :酸性の「皮脂膜」を形成し、皮膚のPhを弱酸性に保つ。
・抗菌作用:皮脂に含まれる脂肪酸が細菌などの増殖を抑える。
・UV防御 :紫外線を吸収し、皮膚へのダメージを軽減する。
・エイジングサポート :酸化ストレスから守り、乾燥・艶・ハリの低下・小じわ等をサポート。
・ターンオーバー正常 :古い角質の剥がれを助け、新しい皮膚の成長を促す。
・異物の付着防止 :ホコリや汚れの吸着を防ぎ、肌を清潔に保つ。
・摩擦の軽減:皮膚同士や衣服との摩擦を減らし、刺激を抑える。
・髪の保護 :毛髪をコーティングすることで、乾燥やダメージを防ぐ。
・温度調節 :皮脂と汗が混ざり、皮膚の温度調節をサポート。
・角質層の保護 :角質層に被膜をつくり、外的ダメージを防ぐ。
・皮膚の健康維持 :適量の皮脂が皮膚の健康を維持し、過剰皮脂を抑える。
・ストレス耐性向上 :皮膚の健康を維持することで、心的ストレスや環境変化への耐性を高める。
皮脂ケアサポート対策
皮脂の減少を防ぎ、健康な肌を維持するためのサポート方法。スキンケア・栄養・睡眠が大事なポイント。
保湿の徹底
皮脂が減少すると、肌の水分が蒸発しやすくなるため、化粧水や乳液、クリーム・美容オイルでしっかり保湿することが重要です。
低刺激性のスキンケア商品を使用
皮脂が減ると肌が敏感になりやすいため、刺激になりやすい石油由来原料や化学添加剤(防腐剤・酸化防止剤・人工色素・人工香料等)不使用、アルコールも不使用または少ない、ケミカルフリーの無添加化粧品がおススメです。
洗顔は優しく行う
ゴシゴシすると皮脂を必要以上に奪い、肌に刺激を与えるので、やさしい洗顔を心掛けてください。泡立てネットでモコモコの泡を立て、肌に負担をかけない泡洗顔はおススメです。※最下部に「泡洗顔のやり方&メリット」を記載しています。ご参考に。
肌保水はこまめに
洗顔後に必ず化粧水で保水してください。朝晩だけではなく日中のこまめな保水は肌乾燥対策に的確。とくに乾燥肌の方は、化粧水を1回ではなく2-3回重ねてつけて頂くのがおススメです。
適度な油分を補給する
タマヌオイル・モリンガオイル・ライスジャームオイル(米胚芽油)・馬油・オリーブオイルなど、皮脂に近い成分を含む美容オイルや油分配合率の高いスキンケアバームはおススメです。
肌保護の成分を取り入れる
セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、シルク等を含むスキンケアを活用し、肌の保護力を高めるのはおススメです。
健康だけではなく、美容においてもアミノ酸はとても重要で、肌にハリをもたらすコラーゲンもアミノ酸から構成されています。NMF(天然保湿因子)は肌の潤いを維持するための「水分保持タンク」としての役割を担っています。
NMFの構成成分の約60%はアミノ酸とミネラル。アミノ酸は肌の保湿に不可欠なのですが、年齢とともにNMFは減少するため、アミノ酸の補給は必要。アミノ酸を多く含む食品を意識的に食べることは大切です。
たんぱく質(アミノ酸)を効果的に摂取
たんぱく質がアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。肌のコラーゲンや髪のケラチンもアミノ酸から構成されています。たんぱく質を意識しながら、動物性と植物性をバランスよく食生活に取り入れてください。
たんぱく質は、動物性と植物性の2種類に分類されます。動物性たんぱく質は吸収率が高いが脂質も多いため、「鶏胸肉+玄米、魚+納豆、 チーズ+ナッツ」等のように植物性と組み合わせると効果的。
【動物性たんぱく質(必須アミノ酸がバランスよく含まれる)】
・肉類(鶏むね肉、牛赤身肉、豚ヒレ肉など)
・魚介類(サーモン、マグロ、イワシ、カツオなど)
・卵(アミノ酸スコア100の優秀な食品)
・乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳など)
【植物性たんぱく質(食物繊維が豊富で消化が穏やか)】
・大豆製品(納豆、豆腐、味噌、おからなど)
・穀類・ナッツ類(玄米、オートミール、アーモンドなど)
・野菜・果物(ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、枝豆、アボカド、バナナなど)
加湿器を活用する
特に冬場は空気が乾燥するため、加湿器を使って室内の湿度を適切に保ち、肌乾燥を防ぐことは効果的。
水分をしっかり摂る
体内の水分不足は肌の乾燥につながるため、(夏だけではなく通年の)こまめな水分補給が必要です。1日1.5-2リットルを目安に、とくに夏場は熱中症対策も含め、のどが渇いていなくても飲むことを習慣づけることが大切。
酸化ストレスから守る食材・サプリを摂取
酸化ストレス保護力のあるビタミンA・C・E、ポリフェノール、β‐カロテン・リコピン・ルティンなどを多く含む緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、ピーマンなど)などを積極的に食べ、皮脂のバランスを整えましょう。きちんとした食生活の上、サプリメントでのサポートもおススメ。
良質な油を摂る
オメガ3脂肪酸を含有するα-リノレン酸を含む亜麻仁油・えごま油、青魚やナッツ類を食べることで皮脂生成をサポート。α-リノレン酸は体内で一部EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されます。
ストレス管理をする
ストレスはホルモンバランスを崩し、皮脂分泌に影響を与えるため、心身のリラックスに努めましょう。
良質な睡眠を確保する
睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、皮脂分泌に影響を与えるので、適切な睡眠(6-7時間ほど)が必要です。
洗顔・入浴の湯温を適切に
熱すぎるお湯は皮脂を落としすぎるため、肌乾燥が気になる方はぬるま湯での洗顔がおススメです。入浴も熱いお湯は避け、ぬるま湯でも長湯は避けた方が良いです。
紫外線対策をする
紫外線は皮脂分泌にも影響を与える可能性があるため、UV対策や日焼け後のスキンケアは大切です。
適度な運動をする
運動によって血行が良くなり、汗をかくのは効果的。激しい運動をする必要はなく、ウオーキングや軽いランニングがおススメ。
皮脂バランスを整える
プレ化粧水(拭き取り化粧水)などを使って、毛穴に溜まった汚れた皮脂、古い角質、洗顔で取り残した化粧品の付着物を除去し、皮脂バランスを整えるのはとてもおススメ。
肌に合ったボディミルクを活用する
年齢を重ねて皮脂量が減ってくると手・脚・全身が乾燥しやすくなります。油分を適量含んだ、天然由来成分配合のボディミルクを使って、こまめな保湿ケアは大切です。
まとめ
皮脂は、肌の「天然の保護膜」として、水分の蒸発を防ぐ、乾燥から肌を守る、柔らかさや弾力を保つ、紫外線や菌からの保護など、内外から肌を健やかに整える働きをしています。皮脂は「出すぎても困るけど、なさすぎても困る」肌の大事な存在。
上記の「皮脂ケアサポート対策」で挙げた事項の中で、美しい肌を保つために、ご自身で今できることをすぐに実践してみてください。
泡洗顔のメリット&やり方
泡洗顔の肌へのメリット
◎摩擦を軽減できる
手と肌の間にクッションとなる泡があることで、物理的な摩擦を抑え、肌への刺激が少なくなります。
◎毛穴の汚れを優しくオフ
泡が毛穴の奥に入り込み、汚れや皮脂を浮かせて落とします。ゴシゴシこすらずとも洗浄力を発揮。
◎肌の潤いを守りながら洗える
強すぎない泡のマイルドな洗浄で、必要な皮脂を残して洗えるので、乾燥肌・敏感肌にもおすすめ。
◎バリア保護
摩擦や強い洗浄剤でバリアを傷めることなく、肌本来のサポート機能が保たれやすい。
◎刺激が少ないので敏感肌にも
肌に触れる回数や力を最小限にできるので、敏感肌にも大丈夫。
◎くすみ*対策にもつながる
古い角質や汚れがやさしく除去されることで、透明感のある肌へ。
*乾燥・古い角質による
◎トラブル予防に効果的
毛穴の皮脂詰まりや汚れをしっかり落とせるのでトラブル予防につながります。
◎肌のざらつきケア
続けることで、肌表面がなめらかになり、メイクのノリもアップ。
◎スキンケアの浸透力*アップ
毛穴の汚れや古い角質が落ちることで、あとの化粧水や美容液がぐんと入りやすくなります。
*角層まで
泡洗顔のやり方
泡をしっかり立てて肌を傷めずに洗う基本的なステップです。
1.手を洗う
洗顔前に手を洗って、手についた汚れを落としてください。
2.顔をぬるま湯で予洗
32-35℃くらいのぬるま湯で、顔をさっと流しておきます。皮脂やほこりを軽く落とすことで、泡洗顔の効果が高まります。
3.石鹸・洗顔料をしっかり泡立てる
泡立てネットを使ってきめ細かく弾力のある泡を作ります。理想は「逆さにしても落ちないホイップ状の泡」。
4.泡を肌にのせる
手ではなく泡で洗うイメージで、泡を顔全体にのせていきます。Tゾーンなど皮脂が多い部分からのせましょう。
5.やさしく泡を転がすように洗う
力を入れすぎず、指でなでるように泡を転がします。1分程度でOKです。
6.ぬるま湯でしっかりすすぐ
ぬるま湯で、泡が残らないようにやさしく丁寧にすすぎます。髪の生え際・あご下も忘れずに。
7.清潔なタオルでそっと水分オフ
ゴシゴシせず、タオルで軽く押さえるようにして水分を取ります。
8.すぐに保湿
洗顔後は化粧水ですぐに保湿をしましょう。どんどん水分が蒸散するのでスピーディーに行ってください。できれば2分以内に。